2019.08.26

ヴァイオリン 鈴木明彦先生

みなさんこんにちは。

バイオリン講師の鈴木明彦です。
皆さんはバイオリンは誰が発明したか知っていますか。(スズキバイオリンかなあ…)
違います。実は誰も知らないのです。
アマティー, ガスパロ・ダ・サロだという人もいますが、
定かではありません。

ある日突然約470年前に、バイオリンは完全、完璧な形で誕生したのです。
それは、たとえば地球はこの太陽系で完璧な位置にあります。
太陽から少しでも近かったり遠かったりしたら
人類が生き延びれない星になっていたことでしょう。
今まで人間は、色々な科学技術を発明してきましたが、
毎年リサイクルできない大量の有害廃棄物を発生させています。

自然はどうでしょう。
死んだ動植物をバクテリアが分解して、土や大気に戻されて自らの出す廃棄物を
完全にリサイクルします。
完璧な循環システムが出来ていますよね。

バイオリンもこのように音響のあらゆる厳密な計算が
出来上がった時に完璧でした。
現在も改良の余地がありません。
多少当時と変わったところといえば
指板が長くなった、バスバー(共鳴板)が長くなったくらいです。
でもこれは音響とは別のことです。

人が作ったもので、出来上がった時すべて完璧だ、なんてものが他にありますか。
車、飛行機、衣服、同じ楽器でもピアノ、フルート、ホルン、トランペット、みんな
少しずつ改良されて良くなっていきますよね。
スマホ、コンピューターはバージョンアップがありますね。
バイオリンはありません。
だからバイオリンはもしかすると人が作ったんではないかもしれません。
神様に近い宇宙人かも。(ロマンがあるでしょ)

さてこのバイオリンですが、弾くのが大変難しいですよね。
バイオリンのテクニックの中で一番難しいのは何だと思われますか?
スピッカート?ダブルフラジオ?アルペジオサルタート?
みんな難しいですが、一番難しく一番大切なのはバイオリンの持ち方です。
(バッカじゃないの?)なんて言わないでください。

実はこの楽器を持つことがきちんとできていないと
他のどんなテクニックも完璧になりません。
まず楽器を持つ時気を付けることは、
楽器の振動を妨げる事をしない。
(裏板に肩がべったりついていたり、
テールピースにあごが触れている。)など。
あと肩当を使っている人に注意ですが、
肩当てを楽器に対して斜めにつけている人がいますが、
楽器にたいして真っすぐにつけてください。

肩当てというので肩で持つと思われている人もいますが、
肩で持つと左手に問題が起こります。
(指がまわらない。ポジションチェンジがうまくいかないなど)
もちろんボーイングにも良くありません。
まず楽器を構えたら、肩当の右の部分を鎖骨下の胸に当てそこで支えます。
決して左側の肩で支えないこと。
もちろん肩が触れますが、胸で支えていれば大丈夫です。
これを守るだけでボーイングも左手も楽になるはずです。

バイオリンをあごで挟む場所はだいたい楽器の真ん中。
私が子供のころは左顎当てにきちんと載せて左側で挟むのが主流でした。
パガニーニの時代は顎当ても発明されていなくてなんと右側で挟んで弾いてました。
楽器の真ん中で挟むときテールピースに顎がふれてしまう人は、
左側から右側にブリッジのかかった顎当てがありますので、それに変えてください。
(テールピースを顎で押すと音程が変わってしまうので)
楽器の構える角度は正面に対して45度が良いです。
簡単な解説でしたが、弓が曲がる。音程がうまく取れない。音が汚い。
などは楽器の持ち方が原因の場合が多いからです。
バイオリンを弾いていてなにかうまくいかなくなった時は、
まず楽器がきちんと持てているかどうかを確かめて下さい。

最後にバイオリンのシフト(ポジションチェンジ)について。
ラロのスペイン交響曲の冒頭のシフトみたいのはなかなか手ごわいですよね。
なんとか良い音程にチェンジしたいのにうまくいかない。
そのような時にうまくできる方法をお教えします。
簡単なようで難しいのですが、
シフトをする前に次の音を頭の中で鳴らすこと。
たったこれだけなのですが、成功の確率は3倍は上がります。
「先生やっぱりうまくいかなーい」
そういう人はもっと基本的なこと、シフトの前の親指の位置などを先生に習ってください。

『バイオリンは宇宙人からの贈り物?!』
……

では皆さん、バイオリンを弾いて楽しい日々を送りましょう。
またお会いできる日を楽しみにしています。