2021.08.07

コントラバス 井口信之輔先生

『音楽院日記』をお楽しみの皆さま、はじめまして!

8月の日記を担当することになりました、井口信之輔と申します。コントラバス奏者、吹奏楽指導者、指揮者として活動しており、平山音楽院では上永谷本校、湘南台教室にてコントラバスの講師を務めています。

日記に何を書こうか考えてみたところ、真っ先に浮かんだのがレッスンについてでした。僕がレッスンの時間をより良いものにするために、日頃から考えていることを書いてみたいと思います。

 

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より良いレッスンをするために心がけていること
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真っ先に結論が出てしまいますが、 僕がより良いレッスンをするために心がけていることは、プレイヤーであり続けることです。音楽大学を卒業してアルバイトを掛け持ちしながら音楽家を夢見ていた頃、いろんなこと(演奏したり教えたり)をやっている自分はよくこんな質問を受けました。

 

「演奏で行くの?指導で行くの?最終的にはどうなりたいの?」

この質問が未だに記憶に残っていて、今でもたまに聞かれながら自問自答していますが、僕の答えは「わからないけど、最終的には大切な人と幸せに暮らしてたら良い」です。

ちょっと話が脱線してるように思いますが、この「わからない」という理由は会話の中で伝えるのが難しく、文章にしたほうが伝わりやすいと思うので、この部分を分解してみようと思います。

なぜ「わからない」のかというと、現代のような変化の激しい時代に求められるのは柔軟性で、自分の【軸】は持ちつつも【道】を一つに絞ることではないと思ったからです。そして時はコロナ禍。数年前、日本がこのような状態になることを想像できたでしょうか。

 

とにかく、来月どうなってるかわからないような今の時代、最終的な目標や描いている夢はあってもどのルートで山を登るのかはちょっと決めにくい。

だけど、音楽家としていろいろやってきた経験を元に今一番大切にしていることだけは明確にあって、それは演奏家として【インプット】したことを指導者として【アウトプット】していくことです(ここで一気に話を戻します)

レッスンというのは音楽の裾野を広げるとても専門性の高い仕事で、楽器の技術指導や音楽的なアドバイスをしながら、一人一人と成長のn字曲線を描いていくためには教える側が進化し続ける必要があり、進化の秘宝は【実体験】です。

 

この実体験こそ演奏家としての経験であって、プロのオーケストラや吹奏楽団、室内楽での演奏、アマチュアオーケストラ、親子コンサートや施設での演奏(求められるスキルがみんな違う)と、さまざまな現場を経験していく中で学んだこと、感じたこと、痛感したことが【軸】を作り、経験値を重ねるたびに進化し、そこでインプットしたことを自分の言葉でアウトプットすることによって、レッスンを通し生徒さんと新しい景色を見に行けるのではないかと感じています。

なので、どんな舞台であれプレイヤーとして立ち続けること、プレイヤーであり続けることが、より良いレッスンの時間を生み出すことに繋がっていると考えています。

とはいえ自分もまだまだ勉強中の若輩者。だけれど、自分が先生と呼ばれる場所では自分の学び、経験を自分の言葉で伝え、レッスンを通しより良い時間を生み出したいと思います。

 

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▼ コロナ禍と音楽家、この先に思うこと
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新型コロナウイルスが猛威を振るう中、音楽の世界も大きなダメージを受けています。演奏会は中止、延期となり活動の場を失ってしまったときは、この先どうなるのかと不安になりましたが、同時に大好きな音楽活動を続けていくために何をすれば良いかを考えるようになりました。

そこでたどり着いた答えが、選択肢を増やすこと。これは、演奏家として【インプット】したことを指導者として【アウトプット】していくことに繋がり、視点を変えてみると【演奏家×指導者】というスキルの掛け算になります。

自分の専攻する楽器が【軸】となり、自分の経験値が増えるたびに経験が足し算で積み重なっていきます。これをA地点と考えて経験を積んでいくと、楽器を教えることが好きなのに気がつき、演奏家としての経験を元に指導者としての活動をはじめ、これをB地点としてみます。

この二つの地点を持っている人はたくさんいると思いますが、この先が大切で、これらを掛け合わせて新たにC地点を作っていきます。

僕であればコントラバス奏者で教えることが好き、そして吹奏楽が大好きです。

これらを掛け合わせると【コントラバス奏者×吹奏楽指導】という計算式が生まれ、管楽器の息の使い方を弦楽器の弓の使い方で例えた弦楽器奏者ならではの視点で指導にあたる珍しい人が生まれます。そして【弦楽器奏者の視点から見たバンド指導】という指導スタイルを確立させ新たにC地点というポジションを作る。

これでアルファベット3つが線で結ばれ、自分の肩書きが増えたと同時に活動面積が広がりました。

次はD地点を作る準備をし、形になったらE地点を生み出します。クラシック以外のジャンルも演奏できるようになりたい、コードが読めるようになる、作編曲できるようになりたい、リトミックを学びたい、英語ができるようになりたい、活動を幅を他県、またはオンラインへと広げたいと描いてる未来を新たな地点とし【〜したい】を願望から形にし、アルファベットを線で結んでいくたびにスキルの掛け算で自分の活動面積が増えていく。

こうして自分の選択肢の数を増やすことが、音楽活動を続けていくために必要なことなのかなと思いました。

趣味の話となりますが、ドラゴンクエストの世界に出てくるスライムってキャラクターはすぐ勇者たちにやられてしまいます。でも、スライムが8体集まるとキングスライムという大きなスライムに変身するんです。で、これが強いんです。

自分の手札、選択肢が多いほど活動面積が広くなり、いざというとき自分を助けてくれる。そして、時に仲間に仕事を振れるかもしれません。

そんな感じで、レッスンで心がけていることからコロナ禍に思うことまで一気に書いて来ましたが、たくさん挑戦し、学び、その経験を元に平山音楽院での時間を充実したものにしていきたいと思います!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

コントラバス奏者、吹奏楽指導者、指揮者井口信之輔

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